アメリカ英語の国際音声記号表

このページではすべてのアメリカ英語の子音と母音の音を網羅したチャートをご覧いただけます。

以下の発音記号システムのどちらかを選択できます:(両方とも国際音声記号使用):

  1. 簡略表記。例: /ˈwɔtɚ/
  2. 精密表記。例: [ˈwɔɾɚ]

こちらの注釈の異音音素について理解いただくと、両者の違いとこれらが英語の発音改善にどれだけ役立つかがわかります。

アメリカ英語の子音

発音記号

異音 音素 単語の最初に 単語の途中に 単語の最後に
[p] /p/
[ˈpleɪs]
/ˈpleɪs/
[ˈkʰʌmpənɪ]
/ˈkʌmpənɪ/
[ˈɡɹup]
/ˈɡɹup/
[pʰ] /p/
[ˈpʰɑrt]
/ˈpɑrt/
[səˈpʰɔrt]
/səˈpɔrt/
-
[b] /b/
[ˈbi]
/ˈbi/
[ˈnʌmbɚ]
/ˈnʌmbɚ/
[ˈdʒɑb]
/ˈdʒɑb/
[t] /t/
[təˈdeɪ]
/təˈdeɪ/
[ˈstɪɫ]
/ˈstɪl/
[ˈɡɛt]
/ˈɡɛt/
[tʰ] /t/
[ˈtʰu]
/ˈtu/
[əˈtʰɛnʃən]
/əˈtɛnʃən/
-
[ɾ] /t/ or /d/ -
[ˈwɔɾɚ]
/ˈwɔtɚ/
-
[ʔ] /t/ -
[ˈsɝʔn̩]
/ˈsɝtn̩/
-
[d] /d/
[ˈdeɪ]
/ˈdeɪ/
[ˈwɝdz]
/ˈwɝdz/
[ˈnid]
/ˈnid/
[k] /k/
[ˈkwaɪt]
/ˈkwaɪt/
[ˈnɛkst]
/ˈnɛkst/
[ˈlaɪk]
/ˈlaɪk/
[kʰ] /k/
[ˈkʰʌm]
/ˈkʌm/
[əˈkʰaʊnt]
/əˈkaʊnt/
-
[ɡ] /ɡ/
[ˈɡoʊ]
/ˈɡoʊ/
[təˈɡɛðɚ]
/təˈɡɛðɚ/
[ˈbɪɡ]
/ˈbɪɡ/
[m] /m/
[ˈmi]
/ˈmi/
[ˈwɪmən]
/ˈwɪmən/
[ˈseɪm]
/ˈseɪm/
[m̩] /m̩/ -
[ˈsɝkm̩ˌstænsəz]
/ˈsɝkm̩ˌstænsəz/
-
[n] /n/
[ˈnoʊ]
/ˈnoʊ/
[əˈnʌðɚ]
/əˈnʌðɚ/
[ˈðɛn]
/ˈðɛn/
[n̩] /n̩/ -
[ˈstudn̩t]
/ˈstudn̩t/
[ˈpʰɝsn̩]
/ˈpɝsn̩/
[ŋ] /ŋ/ -
[ˈθɪŋk]
/ˈθɪŋk/
[ˈθɪŋ]
/ˈθɪŋ/
[f] /f/
[ˈfju]
/ˈfju/
[ˈɔfən]
/ˈɔfən/
[ˈlaɪf]
/ˈlaɪf/
[v] /v/
[ˈvɔɪs]
/ˈvɔɪs/
[ˈɛvɚ]
/ˈɛvɚ/
[ˈɡɪv]
/ˈɡɪv/
[θ] /θ/
[ˈθɹi]
/ˈθɹi/
[ˈnʌθɪŋ]
/ˈnʌθɪŋ/
[ˈdɛθ]
/ˈdɛθ/
[ð] /ð/
[ˈðɛr]
/ˈðɛr/
[ˈmʌðɚ]
/ˈmʌðɚ/
[ˈsmuð]
/ˈsmuð/
[s] /s/
[ˈseɪ]
/ˈseɪ/
[ˈɔɫˌsoʊ]
/ˈɔlˌsoʊ/
[ˈjɛs]
/ˈjɛs/
[z] /z/
[ˈzoʊn]
/ˈzoʊn/
[ˈmjuzɪk]
/ˈmjuzɪk/
[ˈdʌz]
/ˈdʌz/
[ʃ] /ʃ/
[ˈʃi]
/ˈʃi/
[ˈsoʊʃəɫ]
/ˈsoʊʃəl/
[ˈfɪʃ]
/ˈfɪʃ/
[ʒ] /ʒ/
[ˈʒɑnɹə]
/ˈʒɑnɹə/
[dɪˈsɪʒən]
/dɪˈsɪʒən/
[ɡɚˈɹɑʒ]
/ɡɚˈɹɑʒ/
[h] /h/
[ˈhaʊ]
/ˈhaʊ/
[pɚˈhæps]
/pɚˈhæps/
-
[tʃ] /tʃ/
[ˈtʃaɪəɫd]
/ˈtʃaɪəld/
[ˈtʰitʃɚ]
/ˈtitʃɚ/
[ˈmʌtʃ]
/ˈmʌtʃ/
[dʒ] /dʒ/
[ˈdʒʌst]
/ˈdʒʌst/
[ˈmeɪdʒɚ]
/ˈmeɪdʒɚ/
[ˈeɪdʒ]
/ˈeɪdʒ/
[j] /j/
[ˈjɛt]
/ˈjɛt/
[ˈmɪɫjən]
/ˈmɪljən/
-
[w] /w/
[ˈwɛn]
/ˈwɛn/
[əˈweɪ]
/əˈweɪ/
-
[ɹ] /ɹ/
[ˈɹaɪt]
/ˈɹaɪt/
[ˈθɹu]
/ˈθɹu/
-
[l] /l/
[ˈlæst]
/ˈlæst/
[bəˈliv]
/bəˈliv/
-
[ɫ] /l/ -
[ˈoʊɫd]
/ˈoʊld/
[ˈwɛɫ]
/ˈwɛl/
[ɫ̩] /l̩/ -
[ˈmɑɾɫ̩z]
/ˈmɑdl̩z/
[ˈlɪɾɫ̩]
/ˈlɪtl̩/

アメリカ英語の母音

発音記号

異音 音素 単語の最初に 単語の途中に 単語の最後に
[i] /i/
[ˈivən]
/ˈivən/
[ˈðiz]
/ˈðiz/
[ˈwi]
/ˈwi/
[ɪ] /ɪ/
[ˈɪf]
/ˈɪf/
[ˈwɪtʃ]
/ˈwɪtʃ/
[ˈmɛnɪ]
/ˈmɛnɪ/
[e] /e/ -
[veˈkʰeɪʃən]
/veˈkeɪʃən/
-
[ɛ] /ɛ/
[ˈɛnɪ]
/ˈɛnɪ/
[ˈsɛd]
/ˈsɛd/
-
[æ] /æ/
[ˈæsk]
/ˈæsk/
[ˈbæk]
/ˈbæk/
-
[u] /u/
[ˈuzɪŋ]
/ˈuzɪŋ/
[ˈskuɫ]
/ˈskul/
[ˈhu]
/ˈhu/
[ʊ] /ʊ/ -
[ˈɡʊd]
/ˈɡʊd/
-
[o] /o/
[oˈkʰeɪ]
/oˈkeɪ/
[noˈvɛmbɚ]
/noˈvɛmbɚ/
-
[ɔ] /ɔ/
[ˈɔɫ]
/ˈɔl/
[ˈwɔnt]
/ˈwɔnt/
[ˈsɔ]
/ˈsɔ/
[ɑ] /ɑ/
[ɑkˈtʰoʊbɚ]
/ɑkˈtoʊbɚ/
[ˈnɑt]
/ˈnɑt/
[ˈɡɹændˌmɑ]
/ˈɡɹændˌmɑ/
[ə] /ə/
[əˈbaʊt]
/əˈbaʊt/
[ˈpʰipəɫ]
/ˈpipəl/
[aɪˈdiə]
/aɪˈdiə/
[ʌ] /ʌ/
[ˈʌðɚ]
/ˈʌðɚ/
[ˈwʌn]
/ˈwʌn/
-

アメリカ英語のR音性母音

発音記号

異音 音素 単語の最初に 単語の途中に 単語の最後に
[ɚ] /ɚ/
[ɚˈɹaʊnd]
/ɚˈɹaʊnd/
[pɚˈsɛnt]
/pɚˈsɛnt/
[ˈnɛvɚ]
/ˈnɛvɚ/
[ɝ] /ɝ/
[ˈɝlɪ]
/ˈɝlɪ/
[ˈfɝst]
/ˈfɝst/
[ˈsɝ]
/ˈsɝ/
[ɪr] /ɪr/
[ˈɪrz]
/ˈɪrz/
[ˈjɪrz]
/ˈjɪrz/
[ˈhɪr]
/ˈhɪr/
[ɛr] /ɛr/
[ˈɛrˌpɔrt]
/ˈɛrˌpɔrt/
[ˈðɛrˌfɔr]
/ˈðɛrˌfɔr/
[ˈwɛr]
/ˈwɛr/
[ʊr] /ʊr/ -
[ɪnˈʃʊrəns]
/ɪnˈʃʊrəns/
[ˈʃʊr]
/ˈʃʊr/
[ɔr] /ɔr/
[ˈɔrɾɚ]
/ˈɔrdɚ/
[ˈmɔrnɪŋ]
/ˈmɔrnɪŋ/
[ˈmɔr]
/ˈmɔr/
[ɑr] /ɑr/
[ˈɑrt]
/ˈɑrt/
[ˈlɑrdʒ]
/ˈlɑrdʒ/
[ˈfɑr]
/ˈfɑr/

アメリカ英語の二重母音

発音記号

異音 音素 単語の最初に 単語の途中に 単語の最後に
[aɪ] /aɪ/
[ˈaɪz]
/ˈaɪz/
[ˈtʰaɪm]
/ˈtaɪm/
[ˈwaɪ]
/ˈwaɪ/
[aʊ] /aʊ/
[ˈaʊt]
/ˈaʊt/
[ˈdaʊn]
/ˈdaʊn/
[ˈnaʊ]
/ˈnaʊ/
[ɔɪ] /ɔɪ/
[ˈɔɪəɫ]
/ˈɔɪəl/
[ˈpʰɔɪnt]
/ˈpɔɪnt/
[ˈbɔɪ]
/ˈbɔɪ/
[eɪ] /e/
[ˈeɪbəɫ]
/ˈeɪbəl/
[ˈmeɪk]
/ˈmeɪk/
[ˈweɪ]
/ˈweɪ/
[oʊ] /o/
[ˈoʊvɚ]
/ˈoʊvɚ/
[ˈboʊθ]
/ˈboʊθ/
[ˈsoʊ]
/ˈsoʊ/

国際音声記号表の注釈

音素と異音ー定義

音素とは単語の意味を変えることができる言語音のことです。例えば、「kiss(キスをする)」という単語の最後の音を/l/に変えると別の単語「kill(殺す)」になります。よって、/s/と/l/の音は音素となります。

音素表記とは音素を使って単語の発音を表すことです。下記の例のようにスラッシュの間に表記されます:

  • kiss /ˈkɪs/
  • kill /ˈkɪl/

このタイプの表記は簡略表記と呼ばれることもありますが、それは似通った細かい音の違いを表記しないためです。 単語の正確な発音を表すためには精密表記が必要になります。同じ2つの単語を例に見てみると、例えば精密表記は以下のように書きます:

  • kiss [ˈkʰɪs]
  • kill [ˈkʰɪɫ]

精密表記ではスラッシュの代わりに角括弧が使われていところにご留意ください。この例では精密表記は少しだけ異なる記号も使っています。なぜでしょうか?それは言語の各音素にはいくつかの異なる発音があるからです。このような同じ音素の発音のバリエーションを異音と呼びます。

それでは音素の/k/を例として見てみましょう。英語では/k/には2つの異音があります:

  • quite [ˈkwaɪt]の無気音の [k]
  • kill [ˈkʰɪɫ]の強く息を吐きだす時に発する有気音の[kʰ]

さて、ここで「これをすべて学ばなくてはいけないの?複雑そうに見えるけど。」と思っていらっしゃるかもしれませんね。確かにぱっと見はそう見えるでしょう。でも、もし本当に発音を改善したくて、ネイティブスピーカーのよう聞こえることを望むのであれば、英語の各音素のすべての異音 (異なるバリエーション)に慣れ親しむことを強くお勧めします。

それでは音素の/t/が入ったtoday、two、water、certainを例にってみましょう。辞書で発音記号を調べると恐らく以下のように表記されているでしょう:

  • today /təˈdeɪ/
  • two /ˈtuː/
  • water /ˈwɔtɚ/ あるいは /ˈwɔtər/
  • certain /ˈsɝt(ə)n/

全ての単語に「同じ」音素/t/が含まれています。でも、本当に同じように発音されるのでしょうか?違うのです!精密表記 (発音を正確に表す方です、覚えていますか?)では同じ単語でも以下のように表記されるのです:

  • today [təˈdeɪ]
  • two [ˈtʰu]
  • water [ˈwɔɾɚ]
  • certain [ˈsɝʔn̩]

つまり、音素/t/にはsくなくとも4つの異音があります:

  • 無気音の[t]
  • 有気音の[tʰ]
  • 歯茎弾音[ɾ]ーこれはほとんど[d]に聞こえます。
  • 声門閉鎖音[ʔ]ーこれは声道(声門)で気流を遮断して作られる音です。

英語の発音記号変換ツールを利用して精密表記を入手する場合は、下記のオプションを選択するようにしてください(2番目のオプションはアメリカ英語でのみ有効です):

  • [ʰ]の記号を有気音の後に入れる
  • 音素/t/と/l/の異音を表示する

逆に、簡略表記を入手したい場合は、上記のオプションを選択しないでください。

この表で使われている国際音声記号

この国際音声記号表に使用されている発音記号は、 ウィキペディアの方言における包括的な国際音声記号表を含む、他の情報源のものとは少し異なるかもしれません。

英語の発音記号変換ツールとこのページの国際音声記号表に、どの国際音声記号のセットを適用するかの決断は容易ではありませんでした。結果的にはラリー・H・スモールの著書、Fundamentals of Phonetics(音声学の基礎)第4版の推奨に従いました。この本では、他の情報源の内容が非常にうまくまとまっています。

以下の表では、この本で使用されている発音記号の特徴がわかります。

特徴「音声学の基礎」での表記大半のアメリカ英語辞書での表記
音節主音的子音の/l̩//m̩//n̩/は文字の下に小さな縦線を表示。
単語例: little, student
/ˈlɪtl̩/
/ˈstudn̩t/
/ˈlɪt(ə)l/
/ˈstud(ə)nt/
強勢の/ˈər//ɝ/に、無強勢の/ər//ɚ/と表示する。
単語例:first, other
/ˈfɝst/
/ˈʌðɚ/
/ˈfərst/
/ˈʌðər/
無強勢の/eɪ//e/、無強勢の/oʊ//o/と表記。語尾の二重母音/eɪ//oʊ/は無強勢でもそのまま残る。
単語例:vacation, photos
/veˈkeɪʃən/
/ˈfoʊtoz/
/ˈfoʊtoʊ/
/veɪˈkeɪʃən/
/ˈfoʊtoʊz/
/ˈfoʊtoʊ/
延長記号[ː]は音素で/u//i/で使用しない。
単語例:eat, group
/ˈit/
/ˈɡɹup/
/ˈiːt/
/ˈɡɹuːp/